研究紹介」カテゴリーアーカイブ

アメリカの大学をはじめ世界中で広く使用されている著名な教科書 Developmental Biology (10th Edition, 2014) (翻訳版『ギルバート発生生物学』) および Ecological Developmental Biology (2nd Edition, 2015)(翻訳版『生態進化発生学』)に大瀧研究室の二つの論文(下記参照)が引用されました。環境によるチョウの翅の色模様変化が遺伝的に同化されうることを示した本学での研究が、自然環境における遺伝的同化の決定的な例として紹介されています。

Hiyama A, Taira W, Otaki JM (2012) Color-pattern evolution in response to environmental stress in butterflies. Frontiers in Genetics 3: 15.

Otaki JM, Hiyama A, Iwata M, Kudo T (2010) Phenotypic plasticity in the range-margin population of the lycaenid butterfly Zizeeria maha. BMC Evolutionary Biology 10: 252.

沖縄県の県魚「グルクン」(タカサゴ)が,その近縁種と雑種を形成することを明らかにした賀数大吾さん(理工学研究科M2,生物系・今井秀行研究室)らの研究成果が,琉球新報で紹介されました。

詳しくは,下の記事(琉球新報社より許可を得て掲載)を御覧ください。

平成28年2月13日朝刊 5面(琉球新報社提供)

生物系4年次の川端潮音さんの卒業研究テーマの対象となっている、サンゴを専食することで知られるシロレイシガイダマシ属 Drupella spp. について、RBCで放送されている沖縄のサンゴの保全に関するテレビ番組「南の島のミスワリン」の取材がありました。取材では、ミスワリン(石川梢さん)からの質問に対して、川端さんが卒業研究で行ってきた調査の紹介、石西礁湖や沖縄島周辺での分布の特徴やこれまでの被害状況、詳しい生態などについて、対談形式で紹介しました。地上波放送は2月27日(土)ですが、オンエアーを見逃した際は、後日番組HPにてアップされるそうですので、そちらをご覧下さい。

ミスワリン(石川梢さん)と川端潮音さん(生物系4年次)の対談の様子

文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が選出する「ナイスステップな研究者 2015」に,生物系・栗原晴子助教が選定されました。

詳しくは,以下の資料を御覧ください。
琉球大学公式ウェブサイト 掲載記事
琉球大学公式ウェブサイト内 プレス発表資料(PDF)
科学技術・学術政策研究所ウェブサイト内 報道発表資料(PDF)

生物系・James Davis Reimer 准教授が平成27年度沖縄研究奨励賞を受賞しました。

詳しくは,こちらのページ(琉球大学公式ウェブサイト内)を御覧ください。

生物系・伊澤雅子教授のイリオモテヤマネコ保護活動に対して,イリオモテヤマネコ発見五十年記念事業実行委員会から感謝状が授与されました。

詳しくは,こちらのページ(琉球大学公式ウェブサイト内)を御覧ください。

現在,パラオの国際サンゴ礁センター(PICRC)と共同で生物系・栗原晴子研究室が実施している
マラカル湾(下水の排出がされている湾)での水質ならびにサンゴ/オニヒトデの調査に関して,
パラオの現地紙 Island Times に記事が掲載されました。

Island Times, 2015/9/29
許可を得て掲載

生物系の中村宗一教授が,平成27年度日本植物形態学会賞を受賞しました。

日本植物形態学会は,植物形態学の発展に寄与した研究者を賞賛する目的で,「日本植物形態学会賞」をはじめとする各賞を設けています。中でも「日本植物形態学会賞」は,植物形態学の進歩に長年寄与し,植物科学の発展に貢献した研究者に与えられる,最も栄誉ある賞です。中村教授の「クラミドモナスにおけるミトコンドリアの父性遺伝,及びオルガネラの形態変化」に関する長年の研究が高く評価されての受賞となりました。

リンク(日本植物形態学会ウェブサイト)
平成27年度日本植物形態学会3賞 受賞者決定のお知らせ

 

受賞式(2015年9月5日,新潟・朱鷺メッセ)

8月14日から17日にマレーシアで行われた The 3rd International Southeast Asian Bat Conference において、理工学研究科博士後期課程の小林峻さんが Best Poster Presentation を受賞しました。

本 Conference は4年に1度、コウモリ類の多様性のホットスポットである東南アジアを中心とした地域での研究成果を発表・議論するものです。アジアの国々ばかりでなく、ヨーロッパやアメリカからも多くのコウモリ研究者が参加し、生態、分類、形態、病気、保全など多岐にわたる発表がなされました。小林さんは、九州、琉球列島、台湾における送粉生態の地域変異を扱った研究でポスター発表を行い、高い評価を受けました。

左から2人目が今回受賞した小林峻さん,3人目が指導教員の伊澤雅子教授(生物系)

概要
 琉球列島沿岸より、スナギンチャク(刺胞動物門花虫綱)の新種2種が発見された。2種共にイワスナギンチャク属に分類され、シマテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa mizigama)、シロテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa umbrosa)とそれぞれ命名された。両種は浅海の洞窟やリーフの窪みといった薄暗い環境に生息する。イワスナギンチャク類はイシサンゴ類と同じように褐虫藻(共生性の微細藻類)を体内に保持し、光合成およびプランクトン摂食によりエネルギーを得る。しかし今回発見された2種は褐虫藻を持たないという点でユニークである。両種の形態は非常によく似ており、発見当初は同一種と思われていた。しかし、DNAを用いた分子系統解析により別種であることが明らかとなった。以下に詳細を記す。


シマテヤミイワスナギンチャク
撮影地:嘉手納町水釜


シロテヤミイワスナギンチャク
実体顕微鏡下にて撮影

 琉球列島沿岸からスナギンチャク類の新種2種が報告された。発見者は琉球大学理工学研究科の伊礼由佳、ライマージェイムズ准教授、海洋研究開発機構のシニゲーフレデリック博士ら。スナギンチャクはサンゴやイソギンチャクに近縁なグループで、“スナギンチャク”の名は、体に砂粒を含む事に由来する。今回記載された2種は、イワスナギンチャク属に分類された。
 イワスナギンチャク類は主にサンゴ礁域に生息し、プランクトン摂食および褐虫藻(体内共生する微細藻類)が光合成を行う事により栄養を得る。しかし今回発見された2種は洞窟やリーフの窪みなどといった薄暗い環境に生息し、褐虫藻を保持しない。これでは光合成を行うことはできず、この2種は水中に漂う懸濁物やプランクトンを摂取することで全エネルギーを賄っていると考えられる。このように褐虫藻を持たないイワスナギンチャク類は非常に珍しく、世界中でこれまでに1例しか報告がない。
 今回発見された2種は、触手の色にちなみ、シマテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa mizigama)、シロテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa umbrosa)とそれぞれ命名された。シマテヤミイワスナギンチャクの種小名(学名の一部)である”mizigama(ミジガマ)”は、採集地の一つ、嘉手納町の水釜海岸を意味すると共に、水中の“ガマ”(ウチナーグチで“洞窟”)に生息するという意が込められている。この2種は分布域に違いがみられ、シマテヤミイワスナギンチャクは沖縄島、渡嘉敷島、八重山諸島、台湾、ニューカレドニアといった幅広い地域に生息し、シロテヤミイワスナギンチャクは八重山諸島と台湾でのみ生息が確認されている。
 両種は共に体長 5-10 mm 程度で体色はベージュや象牙色。非常に良く似た形態をしており、発見当初は同一種であると思われていた。両種は触手の色彩により識別可能で、シマテヤミイワスナギンチャクの触手は白黒の縞模様、シロテヤミイワスナギンチャクの触手は白色をしている。核DNAとミトコンドリアDNAを用いた分子系統解析の結果でも、両者が別種であることが示された。両種は薄暗い環境を好み、また、日中は触手を閉じており非常に目立ちにくい。このような条件が発見を遅らせたのであろう。近年、琉球列島から新種の発見が相次いでいるが、 特に洞窟やリーフの間隙といった目の届きにくい環境には、まだまだ多くの未発見種が潜んでいると期待される。2種の記載論文は、1月28日発行の国際学術誌 ZooKeys に掲載された。

原著論文タイトル
Descriptions of two azooxanthellate Palythoa (Subclass Hexacorallia, Order Zoantharia) species from the Ryukyu Archipelago, southern Japan

問い合わせ先
伊礼由佳 
琉球大学理工学研究科海洋自然科学専攻
〒903-0213 沖縄県西原町千原1 琉球大学理学部 354室
Tel: +1-847-932-9396(アメリカ)
Email: yuka.irei.mugi[at]gmail.com

ライマージェイムズ
琉球大学理学部海洋自然科学科 生物系・准教授
〒903-0213 沖縄県西原町千原1 琉球大学理学部 353室
Tel: 098-895-8542, 090-7294-9279
E-mail: jreimer[at]sci.u-ryukyu.ac.jp

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