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 今からちょうど1年前、大分県佐伯市にある佐伯鶴城高校科学部との交流について報告しました。今回はその続報です。
 佐伯市蒲江は、マメ科の木性つる植物であるカマエカズラ(ウジルカンダ)の分布北限地です。この植物の生態に興味を持った同校科学部の生徒達は、顧問の清水美記先生の指導のもと、様々な調査・研究を行ってきました。一連の研究は高く評価され、2016年に行われた第57回高文連科学専門部科学クラブ研究発表大会におけるポスター発表で「最優秀賞」を受賞したのを皮切りに、翌2017年には福岡で行われた九州大会、宮城県で行われた全国総合文化祭にも出場しました。
 我々は2011年よりカマエカズラの送粉生態を研究してきましたが、その中で、佐伯鶴城高校科学部との交流が始まりました。その交流は現在も続いています。今回も同校を訪れ、科学部の生徒達とカマエカズラについて意見交換を行ってきました。
 科学部の生徒達は現在、カマエカズラの蜜の成分、発芽の性質について研究を行っています。これまで先輩達が行ってきたことを土台にし、そこからさらに自分達の興味に沿って研究を発展させ、確実に前進している様子がよくわかりました。1年前よりもさらに熱心さを増した眼差しを見て、頼もしさを感じるとともに、今後もこの好奇心を失うことがないようにして欲しいと強く感じました。

試作したポスターの前で佐伯鶴城高校科学部のメンバーと記念撮影

福地順さん(生物系4年次,今井秀行研究室)らによる小型エビ「アキアミ」に関する研究成果が,沖縄タイムスで紹介されました。

詳しくは,下の記事(沖縄タイムス社より許可を得て掲載)を御覧ください。

 

 2017年2月6日(水)、ツシマヤマネコの生態調査のために生物系動物生態学研究室が設置した自動撮影カメラで、国内絶滅種のカワウソの動画が撮影されました。日本のカワウソは明治時代までは全国に生息していましたが、その後分布は減少し、最後に残った四国でも1980〜1990年代に絶滅したとされています。今回の記録は高知県で1979年に最後のカワウソ生体が確認されて以来、国内で38年ぶりのカワウソ生体確認です。

 今の所、対馬で生き残っていたものか、韓国から泳いで来たものか、人為的に持ち込まれたものなのか、いろいろな可能性が考えられます。今後、糞等が見つかれば糞中のDNAからどのような個体がどのくらいいるのかということや、個体の由来がわかってくると思います。(生物系・伊澤雅子教授)

 カワウソ動画はこちらでご覧いただけます(琉球大学公式ウェブサイト,2017年8月17日プレスリリース)。

 2017年8月19日から25日の7日間、台湾の新北市新店区にある中國文化大學・華林実験林場において、学部生を対象とした国際合同実習(International Joint Course: Field Biology)を行いました。2回目となる今回は、琉球大学理学部生物系から学生13名、教員2名(伊澤・傳田)、TA1名(小林博士)、中國文化大學自然科学部生命科学系から学生11名、教員2名(Liao先生、Chen先生)、TA3名(Cheng君、Hsieh君、Yehさん)が参加しました。

2017年8月19日(土)〜22日(火):いざ台湾へ、そして華林実験林場で
 19日、台湾に到着した学生達は、すぐに5つのチームに分かれ、空港を後にしました。夕方4時に華林実験林場に集合するまでは自由時間。台湾と日本の学生が親睦を深める、大事な時間です。


空港到着後にまずグループ分け


華林実験林場で歓迎会

 翌20日の午前中は講義。Liao先生による台湾北部の植生の話を皮切りに、国立嘉義大学から応援に駆けつけてくれたLu先生による花粉の話、中國文化大學のHsieh博士による昆虫の話、などなど。午後は、今回のテーマ Who bring pollen of this flower? について方法の説明を聞いた後、グループごとに対象の植物を決め、花や訪花昆虫の観察を開始しました。いよいよ実習のスタートです。夜には野外観察会も行いました。


Liao先生による講義


野外で訪花動物の観察


室内で花や昆虫の観察


夜の観察会

 20日の好天とは打って変わり、21日は台風の影響で時折激しく雨が降る悪天候。雨の合間を縫って野外観察をしながら、採集した昆虫の同定や、花粉の観察、インターバル撮影データの解析などを行いました。22日は早めに中國文化大學に戻り、データ整理と発表会に向けた準備を行いました。どのように話を組み立てるか、どんな議論を行うか。学生達も、この時ばかりは真剣(?)な表情です。緊張した作業が続く中、夜には伊澤先生達が華林実験林場に仕掛けていた自動撮影カメラの映像を見せてもらいました。なんと7種類もの哺乳動物が撮影されており、改めて台湾の生物多様性の高さに驚かされました。



真剣な表情でデータ整理が続く

 

2017年8月23日(水)〜25日(金):プレゼン、亀山島、そしてさよなら
 23日午後、いよいよ発表会の時が来ました。どのチームも全力を尽くしてのプレゼンです。発表後には質問も多く飛び出し、活発な発表会となりました。そのご褒美というわけではないですが、この日の夜は自由時間。学生達は連れ立って夜市に出かけ、とても楽しい時間を過ごしたようです。


グループ1


グループ2


グループ3


グループ4


グループ5


会場からは多くの厳しい(?)質問が…

 翌24日は宜蘭県の烏石港からボートに乗り、亀山島を訪れました。1時間ほどの短い滞在でしたが、島の歴史や自然などについて説明を受け、楽しい時間を過ごすことができました。次に訪れた博物館では興味深い展示を観覧し、充実した時間を過ごしました。このツアーを実施するにあたっては、大変多くの方々のお世話になったとのことです。関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。


いざ亀山島へ


“亀の尾”付近から台湾本島を望む

 大学に帰り着いたのは夕方4時。今日はさよならパーティーです。パーティーの最初に、修了証書の授与と、昨日行った発表の優秀賞の表彰が行われました。賞をもらったチームの皆さん、おめでとうございました。残念ながら賞に漏れたチームも、素晴らしい発表でした。パーティー本番では、台湾と日本の学生が食事をしながら語り合う姿に、この実習の成果を実感することができました。また、昨年の実習に参加した学生や、これまでにお世話になった先生達が訪ねてきてくれたことも、この実習の締めくくりに花を添えてくれました。

 実習最終日。飛行機の時間までは自由時間。楽しさのあまりか集合時間に遅れて怒られてしまいましたが、無事に予定していた日程を終了することができました。次回は沖縄開催する予定です。どんな実習になるのか、どんな学生が参加するのか、今から楽しみです。今度は沖縄で会いましょう!

4カ国5大学合同の野外実習が沖縄で実施されました(7月28日〜8月6日)。
今年は本学がホスト大学を務め、6名の大学院生(海洋自然科学専攻、海洋環境学専攻)が参加しています。
他の参加大学は 國立台湾大學(台湾)、東海大學(台湾)、Prince of Songkla大学(タイ)、ボゴール農業大学(インドネシア)です。
本実習は英語を母国語としない4カ国の大学生・大学院生が英語でコミュニケーションをとりながら協力して実習課題に取り組むもので、来年度は台湾で実施される予定です。

 

実習参加者の集合写真(風樹館)

 

ナイトウォーク(西原キャンパス)

 

名護岳で植生の観察

 

瀬底研究施設でサンゴの観察

 

海藻の色素分析

2017年7月23–29日に中国の深圳で開催された XIX International Botanical Congress において、博士研究員(伊澤雅子研究室)の小林峻さんが Outstanding Student Award を受賞しました。これはすぐれた研究を行っている学生またはポスドクを対象としたもので、小林さんのこれまでの研究業績が評価されました。また、会期中に開催された「Pollination by non-flying mammal」というシンポジウムでは、「Flying and non-flying mammalian pollinators of Mucuna macrocarpa (Fabaceae) and their effect on fruit set」という講演を行いました。

理学部生物系および大学院理工学研究科のOB(広瀬裕一研究室,2010年博士(理学)取得)で,現在は鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館学芸員の太田悠造さんの本「海のクワガタ採集記:昆虫少年が海へ」が出版されます。

この本では,太田さんの琉大学部生,院生時代のことも詳しく書かれているそうです。ぜひご一読ください。

書籍情報
海のクワガタ採集記:昆虫少年が海へ
太田 悠造 (著)
出版社:裳華房
ISBN-10:4785351241
ISBN-13:978-4785351243
発売日:2017年7月26日
定価(税抜):¥1,500

去る2017年7月15日(土曜日)に開催された琉球大学オープンキャンパスにおいて、午前に行われた理学部説明会に続き、午後には理学部体験ツアーが開催されました。

生物系では、“サンゴ礁魚類の不思議を読み解こう!”(竹村明洋)、“地球の生物多様性パターンの探求:基礎研究をもとにして生物保全を考える”(久保田康裕)、“黒船と沖縄の生物学”(山崎秀雄)、“在学生との懇談会” を行い、多くの方にご来場いただきました。心より感謝申し上げます。

 

サンゴ礁魚類の不思議を読み解こう!(竹村明洋)

地球の生物多様性パターンの探求:基礎研究をもとにして生物保全を考える(久保田康裕)

黒船と沖縄の生物学(山崎秀雄)

在学生との懇談会

 2017年6月30日に理工学研究科博士課程前期2年の池内絵里さんらによる共同研究の成果「Non-bleached colonies of massive Porites may attract fishes for selective grazing during mass bleaching events」(著者:池内 絵里(琉球大・院・理工),大野良和(現OIST,琉球大・院・理工),井口 亮(沖縄高専・生物資源),中村 崇(琉球大・理・JST/JICA SATREPS))が国際誌のPeerJに掲載されました。

 本研究は、2016年夏季に沖縄県内の石西礁湖で起こった大規模サンゴ白化現象時の調査結果をまとめたもので、塊状ハマサンゴ群体の中でも、魚類が白化していない群体をより選択的に齧り取っていることを初めて示しました。一般的に高温ストレスに強く白化しにくいとされる塊状ハマサンゴ類における白化データも含まれた貴重な研究成果です。

 論文(英語)は右のリンクから無料で閲覧いただけます。https://peerj.com/articles/3470/

 

写真1:石西礁湖での大規模なサンゴの白化現象

 


写真2:白化したハマサンゴ

生物系では,高校の水産科および水産に関連する学科を卒業または卒業見込の方を対象とした推薦入試(推薦入試 II)を実施しています。

生物系は,漁業や海洋環境保全への応用も視野に入れた海洋生物の基礎研究(魚介類,サンゴ,藻類など)をテーマとする研究室が充実していますので,高校で学んだことを大いに活かすことができます。実際,水産高校出身の先輩学生たちが学部・大学院の各学年で活躍しています。

水産系の高校で学んだ海の生物が大好きなあなた,琉大生物系を受験してみませんか?

 

推薦入試 II(理学部海洋自然科学科生物系)
[下記は,前年度の情報に基づく平成29年6月時点での予定です。正式な発表,および,出願方法・日程などは,琉球大学入試課ウェブサイトに掲載予定の「平成30年度(2018年度)学生募集要項(特別入試)」のリリースをお待ちください。]

募集人員:1名

出願資格・要件:次の(1)〜(3)又は(4)に該当する者
(1) 高等学校等の水産に関する学科を平成30年3月卒業(修了)見込みの者及び学校教育法施行規則第93条第3項の規定に基づき平成29年度中に高等学校(水産に関する学科)を卒業又は卒業見込みの者。なお,水産高等学校専攻科在学中又は平成30年3月卒業見込みの者も対象とする。
(2) 特に生物学に強い関心と学習意欲を持ち,出身高等学校等の長が責任をもって推薦できる者。なお,学習成績概評がⒶに属する者。
(3) 合格した場合は,入学することを確約できる者。
(4) 本学において,個別の入学資格審査により,上記(1)〜(3)と同等以上であると認められ,入学資格認定書の交付を受けた者で,平成30年3月31日までに18歳に達する者。

入学者選抜の実施教科・科目等:( )内の数字は配点。
[大学入試センター試験(400)]5教科7科目
国(200)
【世B,日B,地理B,現社,倫,政経,倫・政経】から1(100)
数I・数A(必須),【数II・数B,簿・会,情報 (※)】から1(数学2科目合計で200)
【物理,化学,生物,地学】から2(理科2科目合計で200)
【英(リスニングを含む),独,仏,中,韓】から1(200)
以上のセンター試験の合計点(900点満点)に4/9を乗じた得点(400点満点)をセンター試験の得点とする。

(※) 数学の「簿記・会計」「情報関係基礎」で選択解答できる者は,高等学校等でこれらの科目を履修した者及び文部科学大臣の指定を受けた専修学校高等課程の学科の修了(見込み)の者に限る。

[個別学力検査等(400)]
面接(200),調査書(100),志願理由書(100)

総計 800点満点

 

慶良間諸島渡嘉敷島の阿波連沖のサンゴ(写真提供:生物系・中村崇 准教授)

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